ジェロボアム店主のPrivate Cave

神戸元町のワインショップ・オーナーの備忘録。
ワインの試飲レポートや過去の記事、個人的に置いておこうと思った文章、随想録としてこのページを作りました。
(ここでの記事は、ワインの販売やサービスとは関連しません)
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# 2018年2月トップページ用原稿

〜2018年2月頃にトップページのご挨拶用に書いた原稿〜

 

ジェロボアムはワイン専門店として神戸元町で2003年1月18日に生まれました。
18坪ほどの小さい店、今年で16年目、まだ15年しか経っていません。それでもその間に多くのお客様がお越し下さって、多くのワインが入り、そして売れて出ていきました。
今ではすっかり定着した感のあるナチュラル・ワインとか自然派というジャンルのものが当初から多めでしたが、いわゆるグランヴァンへの憧れもある世代ですから新旧問わず良いものをセレクトしたいと考えていました。今思うと、フランスの産地でいえばジュラ・サヴォワ地方や南西地方のコーナーが充実していたり、ドイツやイタリアの当時は現地でしか買えなかったようなワインが集められたりしていて、よく同業者には面白がられたりしましたが、来日する生産者には褒められることがあり嬉しかったのを覚えています。
その個性的なセレクトは、増えつつあるネットショップの脅威に?または、小さな新規店が資金力のある有名店に立ち向うためには・・という意識がそうさせたというのが実際のところなのですが・・。

ある時、開店当時からずっと来て下さっているお客様が、ジェロボアムのお買上げ伝票をすべて置いていたのを見せてくれました。電話帳2冊分くらいの厚みに驚きました。
せいぜい15年と思っていましたが、積み重なった時間の長さをあらためて感じ、変わらぬ信頼を置いて下さっているお客様への深い感謝の気持ちがこみあげてきました。
ジェロボアムの伝票にはワインの簡単なデータや試飲コメントが記されており、35歳の頃の自分の表現力の稚拙さは恥ずかしくなりましたが、良いものを選んで適正な価格で販売したいという思いや、その当時は売りにくい商材だったロゼ・ワインやドイツ産の辛口、少しだけ扱っていた日本ワインなどを果敢にご紹介しようとしていたことが、読み取れました。
それからの年月で、消費税や輸送費や諸々が上がったり、世界市場の拡大で人気ワインが取り合いになったりして、ワインの価格・流通量にも影響が出てきたため、同じ銘柄だけで見ると買いづらくなっているかもしれませんが、ジェロボアムで行っている仕事=それぞれの価格に相応しい以上の満足を提供できるワインを選びご紹介する=ということはずっと変わっていません。いわゆるネット販売を行わず、地元密着の姿勢も同じです。
"あいかわらず"は店作りの上では、とても大事なことだと思っています。ジェロボアムは商品や取り巻く状況が変わっても"あいかわらず"を続けて、皆様にご愛顧頂ける店でありたいと思いますので、これからもよろしくお願い申し上げます。

| comments(0) | - | 08:20 | category: 記事のストック |
# 日本料理&ジンジャー

日本料理 玄斎のご主人が、ときおりお客さんからジンジャエールはあるか・・と聞かれるそうで、置いてあるのは当然か・・という記事をSNSにあげていた。ご主人が想像していたかは分からないが、多くの投稿、様々な意見が寄せられている。

ご主人を慕うお客さん、若手同業者もいるだろうから、自分なりの考えを述べるのがご主人への敬意という部分もあるかとは思う。

そういう僕も、自分なりの意見をあえてここで表すが、玄斎のような正統派の日本料理の店にジンジャーエールも自家製シロップのソーダ割りも必要ない。どこのメーカーなら甘さひかえめだからいい・・という問題でも、手作りだからいい・・という問題でもない。玄斎を選んで食事に行くのなら、楽しむべきは日本料理の粋。ご主人の考え方の結晶といえるお店で用意されているままを楽しむべき。どんなソフトドリンクなら味を損なわないか・・と考えること自体がいけてない。

代わりに何を用意するか・・そもそも代替案は必要か・・はご主人に考えてもらおう。そのことについて僕に意見はない。

お客さんのご要望が多いとして、それに対応する理由が、純粋にお客さんのことを思って・・というのと、売上増を狙って・・という2つの動機があるだろうが、玄斎のご主人は後者は考えないと思う。

その店のファンだというなら、ご主人が伝えようとしているものを汲み取るべき。持ち込んでもらえばいい、という意見もあったが、お客さんのご勝手に・・という態度もやめてほしい。悲しくなる。

 

念のため、言っておく。日本料理の店でワインを飲むのはアリかナシか。ありえない・・という人は多いと思う。ワインはありでジンジャーはなし?そんなのおかしい。ワインを飲む人がいるなら、ジンジャーを飲みたい人がいてもいいんじゃないの?その考えは正しいと思う。否定も肯定も、結局は好み次第?自分の都合の良いように考えるもの?だったらいいんじゃないの?それも大体正しい。

ちなみに、僕はワインを売る仕事をしているけれど、ワインを置いている店なら必ずワインを飲むわけではない。その店がお薦めしているなら試すかもしれない。狙いはあるんだろうから、一度は受け容れてみるかも。基本的にはその店にあるものを楽しむ。餃子しか置いてませんとアピールしている店でご飯を期待しないし。

もうひとつ念のため。ワインを置いていない店で、絶対にワインがあるとその店は良くなる・・と確信をもった店があったとして、言わないけれど心の中ではそう思い続けると思う、そしてお付き合いが深まった時にご主人に軽く提案はするかもいれない。(でもうちで仕入れてほしいなんて全く思わない) だから、ジンジャーエールを売る仕事をしている人がいて、この店にはジンジャーがあるともっと良くなると確信が持てるなら提案するのは良いと思う。でも、その時に大事なのは、勝手な解釈ではなく、その店の魅力をちゃんと理解しているか、ご主人が何を伝えようとしているのかを汲み取れているのか・・だ。

 

・・と、こんなふうに、ここでは一個人の意見をつらつら書いていくつもり。今回はたまたま玄斎さんの記事をきっかけにしたが、ここで書いていることは、実際は特定の店のことではない。また、誰かを非難するつもりはまったくなし。論戦を繰り広げたいとも思わない。みんな好きに考えて、好きにしゃべる、それで良し。

| comments(0) | - | 00:56 | category: 書き留めておきたいこと |
# 見栄えより、瞬間の面白さより

個人として、店として、SNSを利用している。アップした記事は関係性のある人たちに瞬時に広まり、内容によっては注目を引くこともスルーされることもあるけれど、だいたいのところ有益なツールだと思っている。

しかし、自分としてはこだわりのあった記事も数日、数か月と経てば、それを自分でもう一度見つけるのも難しい。読んでくれた誰かに強いインパクトが残った場合でも、わざわざ保存でもされない限り、その記事はどこかに消え失せて、誰の記憶からも薄れていく。そんなSNSの特徴は、薄っぺらで無責任なほうが面白がられるし歓迎される今の世の中には合っているのだと思う。情報は能動的に得るものと、きっかけを与えればむこうから勝手に飛び込んでくるメルマガやSNSのような受動的に得るものがあるとして、心に意識にきちんと残るのは前者のほうではないか。

僕は今年で52歳、ジェロボアムは17年目に入った。だからでもないが少し思うところがあり、店のホームページの隅っこを使って、思うことをただ綴って備忘録として残してみようかと、このページを作ってみた。

6年間ともに働いてくれたスタッフが辞め、以前のような自分一人で運営する店になったのだが、ジェロボアムは個人事業主の僕の趣味や考え方などが表れた空間で僕そのものなんだなぁ・・とあらためて思った。そして、街中のビルのテナントを賃借りして続けてきたけれど、あと何年でここを出ることになるだろうと最近考えるようになった。神戸にジェロボアムは必要だ・・と言われても、一代の店だ、その日はそのうち来る。おそらくそれほど先ではない、想像するだけで寂しくなってしまうが。

そこで心境の変化があったということで・・その日までの間、ジェロボアムを私物化する。もちろん自分の店は私物かもしれないが、商売で人を招き入れる以上、100%私物ではないような意識があるし、『ソムリエは我を捨て黒子に徹するもの』という美しい理想像も持っている。しかし、なぜ酒屋を始めたのか考えてみたら、ソムリエより酒屋の兄ちゃんのほうが気楽で良いと思ったからだった。多少、雑でも許される?のような。(しかし、ワインショップは酒屋とは違うんだなぁ。スマートさが必要だと僕も世間も思っている)

ちょっと極端な発言もするかもしれない。実際、普段でも、周りが冷や冷やするようなことも言うことがあるので。SNSなどネット上では炎上と言われる状態にもなりかねない。その場合は、すぐに修正・削除もすると思う。でも、これはそれでも必要だ・・と思う記事ならしっかり残したいと思う。(大人としてやめといたほうがいい内容はわかる・・と思う)

最後に、このページはエゴに満ちた場所になりかねないし、読んでほしいと思って書かないと思う。誰かの機嫌を損ねたくもない。だから、興味がない人はわざわざ見ないでほしい。なら、こんなとこに残すな?正論だ。でも、ここは私物だと宣言して、意味なく立ち入らないでほしいとだけ言っておきたいと思う。別に不機嫌を吐き出したい時に使う場所ではないので・・念のため。

主に、日々思うことのほかに、これまで続けられなかったワインの感想なども気軽な程度に残すつもり。ワインの記事は読み手を意識すると頑張って書いてしまうので・・。

 

| comments(0) | - | 23:59 | category: 随想 |